「春休みになると元気に……新学期は行ける?」支援の専門家が読み解く、こどものエネルギーと「休養の肯定」

こどもへの関わり方と実践

3月下旬になり、学校が春休みに入りました。

この時期、不登校でお休みをしているこどもたちの家庭では、ある「変化」がよく見られます。

それは、こどもが急にリビングに出てくるようになったり、笑顔でゲームを楽しんだり、冗談を言ったりと、「急激に元気になったように見える」という変化です。

そんな姿を見ると、保護者の方は「だいぶ元気になってきた!」「もしかして、学年が変わる4月の新学期からは学校に行けるのでは?」と、期待で胸が膨らむことと思います。

しかし、ここで焦って新学期に向けた準備を促したり、背中を押したりしてしまうと、こどもが再び心を閉ざしてしまうケースが少なくありません。

今回は、認定心理士の視点から「なぜ春休みになると元気になるのか」というメカニズムと、この時期に最も大切な「休養の肯定」についてお話しします。

「みんなも休み」という最強の免罪符

なぜ、春休みになるとこどもは急に元気になるのでしょうか。

それは、こどものエネルギーが完全に回復したから、というよりも、「学校のプレッシャー(罪悪感)から解放されたから」という側面が非常に大きいのです。

平日、他のこどもたちが学校で勉強している時間に家で休んでいることは、こどもにとって想像以上の罪悪感とストレス(心のエネルギーの消耗)を伴います。

しかし、春休みになれば「他の同級生たちもみんな学校が休み」になります。

この「みんなも休んでいる」という事実が、こどもにとって自分を責めなくて済む免罪符となり、心の重荷がフッと軽くなるのです。

不登校のこども自身が考えた『不登校の7段階』というモデルがあります。

春休みの急な元気は、完全に回復した「安定活動期(第七段階)」ではなく、プレッシャーが減ったことで一時的に好きなことができるようになった「エネルギー再活性期(第四段階)」の状態に近いと言えます。

教育機会確保法が示す「休養の必要性」

では、この時期に親はどう接すればよいのでしょうか。

「元気になったのだから、そろそろ新学期の準備をさせないと」と焦る気持ちは痛いほど分かりますが、今は無理に動かす時期ではありません。

国が定める「教育機会確保法」という法律の第十三条でも、不登校児童生徒の「休養の必要性」がはっきりと明記されています。

今は、「学校に行かなきゃ」というプレッシャーがないこの春休みという期間を最大限に利用して、「徹底的に安心させて、心のエネルギーを貯める(休養を肯定する)期間」だと捉えてみてください。

「家で過ごしていいよ」「好きなことをしてリラックスしていいんだよ」と、こどもの今の状態をそのまま認めてあげることが、結果的に社会的自立へ向かうための最も重要なエネルギー充電になります。

一喜一憂を手放し、安心の土台を守る

「4月からは行く!」とこども自身が口にすることもあるかもしれません。

しかし、実際に始業式の朝になると、また動悸や腹痛がして体が動かなくなってしまうことも珍しくありません。

そこで親が落胆してしまうと、せっかく貯まったエネルギーがまた漏れ出てしまいます。

春休みは、「行けるかも」という親の期待が最も高まりやすい時期です。

だからこそ、親自身が「一喜一憂」を手放し、「新学期に行けても行けなくても大丈夫。この子にはこの子のペースがある」と、心の中に防波堤を作っておくことが大切です。

「新学期が近づいてきて、親の私の方が焦って苦しい」
「こどもにどう声をかけたらいいか分からない」

そんな時は、どうか一人で抱え込まずにティーンズ・プレイスにご相談ください。

心理と福祉の両面から、ご家庭が一番安心できる「春休みの過ごし方」を一緒に整理し、伴走させていただきます。

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