「なんでお兄ちゃんだけ学校を休んでるの?」
「私だって行きたくないのに、ずっと家でゲームしててずるい!」
こどもが学校を休むようになり、少しずつ家で過ごす時間が増えてくると、毎日学校に通っているきょうだいから不満の声が上がることがあります。
不登校のこどもの対応だけでもエネルギーを使う中、きょうだい間のトラブルや板挟みに直面し、「どう説明すればわかってくれるのだろう」と頭を抱えてしまう保護者の方は少なくありません。
今回は、不登校のご家庭で必ずと言っていいほど直面する「きょうだいへの対応」について、大切にしたい視点をお伝えします。
不登校は「家族全体の危機」であるという視点
まず前提として知っておいていただきたいのは、不登校は休んでいるこども個人の問題にとどまらず、家族全体がバランスを崩してしまう「ファミリー・クライシス(家族の危機)」でもあるということです。
親の意識や関わりが、どうしても「学校に行けないこども」に集中してしまうのは仕方のないことです。
しかし、その間、毎日学校に行っているきょうだいたちは、「自分は親から後回しにされている」「家の中の空気が重くて居心地が悪い」といった、見えないストレスを抱え込んでいます。
きょうだいが放つ「ずるい」という言葉は、単なるわがままや意地悪ではなく、「私(僕)のこともちゃんと見てほしい」「今の家の状態が不安だ」という、彼らなりの「心のSOS」なのです。
「理由を正しく説明すること」が正解とは限らない
「ずるい」と言われたとき、親としてはつい、「お兄ちゃんは今、心が疲れて病気みたいな状態なんだよ」「だから休ませてあげなきゃいけないの」と、正論で説明して納得させようとしがちです。
しかし、きょうだいが求めているのは「休んでいる論理的な理由」ではありません。 親が不登校のこどもをかばうような説明を重ねるほど、きょうだいの目には「お兄ちゃんばかり特別扱いされている(エコ贔屓されている)」と映り、かえって反発心を強めてしまうことがあります。
まずは理由を説明する前に、「そうだよね、自分だけ学校に行ってて不公平だなって思うよね」「ずるいって思っちゃうよね」と、きょうだいの不満や感情そのものを否定せずに受け止めることを最優先にしてください。
短くても「1対1」の時間を作る
きょうだいの不満を和らげ、家族のバランスを保つために最も効果的なのは、学校に行っているきょうだいと「1対1で向き合う時間」を意図的に作ることです。
休日は親のどちらかがきょうだいを連れて外出する、下校後に一緒に買い物に行く、寝る前の10分間だけはきょうだいの話をじっくり聞くなど、時間は短くても構いません。
「あなたはお兄ちゃんのオマケじゃないよ」「あなたのことも、とても大切に見ているよ」というメッセージを、態度や行動でパーソナルに伝えていくことが重要です。
「親が自分としっかり向き合ってくれている」という安心感がチャージされれば、きょうだいは自然と、家で休んでいるこどもの存在を許容できるようになっていきます。
家族全員で「頑張らない」日を作る
不登校のこどもが家で休んでいる姿を見て、きょうだいが「ずるい」と感じるのは、「自分はこんなに頑張っているのに」という気持ちの裏返しでもあります。
そんなときは、「じゃあ、今度の週末は家族全員で何もしない『ダラダラする日』にしようか」と、きょうだいにも休むことを肯定してあげるのも一つの方法です。
心のエネルギーが枯渇して休養が必要なのは、不登校のこどもに限りません。
ご家庭の中だけでバランスをとるのが苦しいときは、無理をせず専門家や第三者の力を頼ってください。
こどもたちにとっても、そして保護者の方ご自身にとっても、家庭が「安心できる安全基地」になるよう、一緒に少しずつ状況を整理していきましょう。


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