朝、学校に行けずに布団にくるまっているこどもに「どうしたの?」「何かあったの?」と声をかけても、何も答えてくれない。
リビングにいても無言のままで、何を考えているのかまったく分からない。
不登校の初期段階において、こどもが口を閉ざしてしまう場面に直面し、「どうやってコミュニケーションをとればいいのだろう」と戸惑う保護者の方は少なくありません。
こどもの様子が分からないからこそ、不安からつい質問攻めにしてしまったり、沈黙の空気に耐えきれずイライラしてしまったりするのは、親としてとても自然な反応です。
今回は、こどもが話したがらない時の心理と、ご家庭でできる「沈黙の受け止め方」について、実践的なヒントをお伝えします。
理由を「言葉にできない」のは自然なことです
こどもが黙り込んでしまうとき、大人はつい「何か隠しているのではないか」「本当はいじめなど、重大な理由があるのに言えないのではないか」と考えてしまいがちです。
しかし、不登校の初期には、こども本人も「なぜ自分が学校に行けないのか」という理由をうまく説明できないことがよくあります。
「なんとなく嫌だ」「疲れた」「わからない」といった感覚だけがあり、それを整理する心のエネルギーが残っていないのです。
その状態のときに、大人が「どうして行けないの?」「理由を言いなさい」と無理に言語化させよう(聞き出そう)とするのは、実は逆効果になります。
うまく言葉にできないこども自身が混乱してしまったり、「理由をきちんと説明できない自分はだめなんだ」と、さらに自分を責めてしまったりすることがあるからです。
まずは、「本人も今は言葉にできない状態なんだ」と受け止め、原因探しや理由の言語化を急がないことが、一番の初期対応になります。
「沈黙」も大切なコミュニケーション
私たちの活動でも、こどもとの面談(伴走支援)を行っていますが、いざ面談が始まっても、こどもが緊張して一言も話さないことは珍しくありません。
そんな時、私たちは無理に話すことを強要せず、60分の間こどもがずっと黙っていても、それをそのまま受け入れます。
「沈黙も大切なコミュニケーションの時間」だと考えているからです。
言葉を交わさなくても、「この人は、自分が何も話さなくても怒らない」「ただ黙って自分のペースでここにいることを認めてくれる」という経験そのものが、こどもにとっては大きな安心感につながります。
「何かを話さなければならない」というプレッシャーから解放されることで、こどもは少しずつ心のバリアを解いていくことができるのです。
言葉がなくても、同じ空間にいられれば大丈夫
ご家庭でも、こどもが話したがらない時は、無理に会話の糸口を探さなくて大丈夫です。
「否定されない」「急かされない」「比較されない」という空気を作り、こどもが家庭の中で安心して休める状態(力を抜ける状態)を保つことが何よりも重要です。
会話がなくても、ただ同じ空間にいて、親御さんが穏やかに過ごしているだけで、こどもにとっては十分な「安心環境」になります。
もし、無言の時間が長くてお互いに息が詰まってしまうようであれば、ちょっとした遊び(一緒にゲームをする、テレビを観るなど)を交えてみるのも一つの工夫です。
言葉を交わさなくても、同じ画面を見て笑ったり、一緒に作業をしたりする「言葉以外のコミュニケーション」を通じて、少しずつ関係性はほぐれていきます。
焦らなくて大丈夫です。
「今はまだ、言葉にしなくていいよ」という静かなメッセージを態度で伝えながら、こどもの心にエネルギーが溜まって、自然と言葉が出てくる日をゆっくりと待ってあげてください。

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