前回の記事では、話題のフリースクールドラマ第5話に登場した「ゲームの効能」についてお話ししました。
この第5話ではもう一つ、現代の不登校において非常に重要で、かつ重たいテーマが描かれていました。
それが、「大人の見えないところで進行するSNSのいじめ」です。
劇中では、特定の生徒を避けるためにクラスの大多数が一斉にグループLINEから退室するという、非常に残酷な描写がありました。
もし、お子さんの不登校や行き渋りの背景にこのような「いじめ(友人関係のトラブル)」があったと後から分かったとき、親御さんの心にはどんな感情が渦巻くでしょうか。
「なぜ、もっと早く気づいてあげられなかったのか」
「私が毎日ちゃんと見ていなかったせいだ」
「親として失格なのではないか」
そんな風に、ご自身を激しく責め立ててしまっていないでしょうか。
今回は、いじめに気づけなかったことで深く傷ついている親御さんへ向けて、不登校支援の現場からお伝えしたい「心の整理」についてお話しします。
データが示す、現代のいじめの「見えにくさ」
「気づけなかったのは、親の愛情や関心が足りなかったからだ」
そう自分を責めてしまうお気持ちは、痛いほどよく分かります。
しかし、それは決してあなたのせいではありません。
文部科学省が発表した令和4年度の調査結果によると、小・中・高・特別支援学校におけるいじめの認知件数は約68万2千件と過去最多を記録しています。
その中でも、インターネット(SNS等)上のいじめは約2万4千件にのぼり、年々増加の一途をたどっています。
ここで注目していただきたいのは、文部科学省自身が「SNS等を用いたいじめについては、外部から見えにくい・匿名性が高い等の性質を有するため、学校が認知しきれていない可能性がある」と明確に指摘している点です。
大人に気づかれないように「巧妙化」している
現代のこどもたちのコミュニケーションの主戦場は、親も先生も立ち入ることのできないスマートフォンの画面の中にあります。
劇中のLINEの退室のように、殴る蹴るといった目に見える暴力ではなく、大人の目が届かない密室で、巧妙に、そして陰湿に行われるのが今のいじめのリアルな構造なのです。
親御さんがいじめに気づけなかったのは、愛情が足りなかったからでも、育て方が悪かったからでもありません。
「現代のいじめそのものが、大人には極めて見えにくい構造になっているから」なのです。
この客観的な事実を、どうかご自身の心を守るための「盾(判断軸)」として持っていてください。
複雑に絡まった糸を、家庭だけで解こうとしない
いじめが発覚したとき、親御さんは「私が相手の親に言いに行かなければ」「学校に強く抗議しなければ」と、一人で戦おうと無理をしてしまいがちです。
しかし、SNSのトラブルなどは証拠が残りにくく、親同士で直接話し合うと感情的になり、かえって問題がこじれてこどもの傷を深くしてしまうことも少なくありません。
こどもの心を深くえぐる「いじめ」という問題は、ご家庭の中だけで、あるいは親御さん一人だけで解決できるほど単純なものではありません。
だからこそ、一人で抱え込まずに、学校のスクールカウンセラーや教育支援センター、あるいは私たちティーンズ・プレイスのような民間の相談機関など、「外部の専門家」を頼っていただきたいのです。
まずは、親御さん自身の傷を手当てすることから
こどもがいじめで傷ついていたと知ったとき、親御さんご自身の心もまた、えぐられるような深いダメージを受けています。
「なんとか解決しなきゃ」と焦る前に、まずは「気づけなかった自分を責める気持ち」をそっと手放し、親御さんご自身の心をケアすること(レスパイト)を最優先にしてください。
「どうしていいか分からず、ただただ苦しい」
「いじめの事実を受け止めきれず、パニックになっている」
もしそんな風に孤立感に押しつぶされそうになった時は、いつでもティーンズ・プレイスにご相談ください。
単発相談(60分)などもご用意していますので、まとまっていなくても構いません。
まずはその苦しい胸の内を、そのまま吐き出しにいらしてくださいね。

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