「ゲームは命の浮き輪」。一日中ゲームをするこどもへの不安と、親の「見守る辛さ」の処方箋

保護者の心の整理

こどもが不登校や行き渋りになったとき、ご家庭で最も頻繁に直面し、親御さんの心を深く悩ませるのが「ゲーム」との付き合い方です。

一日中部屋にこもってゲームをしている姿や、昼夜逆転して夜中まで画面に向かっている姿を見ると、「このままではゲーム依存になってしまうのではないか」「せめて少しはルールを守らせた方がいいのではないか」と、強烈な焦りと不安に襲われることと思います。

今回は、不登校におけるゲームの役割と、それを見守る親御さん自身の「心のケア」についてお話ししたいと思います。

現実の苦しさから身を守る「命の浮き輪」

フリースクールを舞台にしたドラマの中で、「ゲームは命の浮き輪」という言葉が語られていました。

不登校支援の現場にいると、この表現がこどもたちの心理をどれほど正確に表しているかを痛感します。

学校に行けない、あるいは行きたくないという状態にあるこどもは、心身のエネルギーが枯渇し、深い傷つきや無気力感の中にいます。

そんな彼らにとって、ゲームは単なる遊びや怠けではありません。

辛い現実や「行けない自分を責める気持ち」から一時的に逃れ、心を安全な場所に避難させるための、まさに「命の浮き輪」なのです。

また、オンラインの世界では、同じように不登校で苦しむこども同士が繋がり、お互いの存在を肯定し合える「唯一の居場所」になっていることも少なくありません。

親の「見守るのが辛い」という感情は当然のものです

頭では「今はエネルギーを溜める時期だから」「ゲームは浮き輪なんだから」と理解しようと努めていても、現実の日常の中でそれを見守り続けるのは、親御さんにとって想像を絶するストレスです。

ゲームに没頭するあまり昼夜逆転してしまったり、ゲーム中に感情が高ぶって激しい暴言を吐いたりする姿を、毎日一番近くで受け止めなければならないご家族の苦労は計り知れません。

「いつになったら終わるのだろう」
「見ていて本当に辛い、逃げ出したい」

そんな風にご自身の感情がマイナスに傾いてしまうのは、親としての愛情が足りないからではなく、ごく自然で当然の反応なのです。

どうか、「こんな風に思ってしまう自分は冷たい親だ」とご自身を責めないでください。

こどもの「浮き輪」を奪わない代わりに、親自身が休む

「ゲームを取り上げれば、少しは規則正しい生活に戻るのではないか」と考えてしまうこともあるでしょう。

しかし、極限状態にあるこどもから力ずくで浮き輪を奪ってしまえば、彼らは心の逃げ場を完全に失い、さらに深く溺れてしまいます。

今、ご家庭で最も優先すべきなのは、ゲームをコントロールすることではなく、「見守ることに疲れ果ててしまった親御さん自身の心を休ませること(レスパイト)」です。

こどもがゲームに没頭している間、親御さんも「いい親でいなきゃ」という役割を少しだけ下ろしてみませんか。

別の部屋で好きなドラマを見たり、少しだけ外に出て美味しいものを食べたりと、意図的にこどもの状態から物理的・心理的な距離を取る時間を作ってください。

親御さんが家の中でホッと息を抜き、ご自身のエネルギーを守り続けることが、結果としてこどもにとって最大の安心環境(安全基地)に繋がります。

限界を迎える前に、外の力を頼ってください

とは言え、毎日続く昼夜逆転や暴言を、ご家庭の中だけで抱え込み続けるのは限界があります。

「頭では分かっているけれど、もう見ていられない」
「このままどうなってしまうのか、不安で押しつぶされそう」

そんな風に限界を感じた時は、どうかティーンズ・プレイスにご相談ください。

親御さんが孤立しないよう、まずはその「辛さ」や「焦り」をそのまま吐き出していただくための単発相談(60分)などもご用意しています。

また、こどもを置いて家を留守にしづらいという場合でも、こどもが私と関わっている間に自分の時間を作るという使い方もできるかと思います。

不登校は、ご家族だけで解決しなければならない問題ではありません。

今夜はどうか、ご自身のためだけに温かい飲み物でも淹れて、ゆっくりとお休みくださいね。

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