不登校の陰で見過ごされがちな「優秀なきょうだい」の孤独。ドラマが描く家族のバランスと親の関わり方

不登校支援の考え方

先日放送されたフリースクールを舞台にしたドラマの第3話では、「良かれと思って」の親の過干渉がテーマになっていました。

その中で、もう一つ私がとても気になったのが、「優秀な姉と、不登校の妹」という、きょうだいの関係性と家族のバランスの描かれ方です。

劇中では、不登校の妹が出来の良い姉と自分を比べているような描写がありました。

しかし、親が学校に行けない妹のことで頭がいっぱいになり、過干渉に接しているからこそ、かえって「手のかからない優秀な姉」への関心が薄くなってしまっているように見えました。

不登校支援の現場では、こうした「きょうだい間のアンバランスさ」に直面することが少なくありません。

今回は、不登校の陰で見過ごされがちな「優秀なきょうだい」の孤独についてお話ししたいと思います。

「比べられる苦しさ」と「見られない寂しさ」

きょうだいのどちらかが不登校になったとき、家の中には特有の緊張感が生まれます。

親から「お姉ちゃんはちゃんと学校に行っているのに」と直接的に比べられなくても、こどもは親の視線やため息から「自分はダメな子なんだ」と深く傷つき、エネルギーを漏らしてしまいます。

一方で、順調に学校に通っている「優秀なきょうだい」の側も、決して平気なわけではありません。

親の関心がすべて不登校の兄弟姉妹に向かってしまうことで、「自分は手がかからないから、見てもらえないんだ」という見えない寂しさを抱え込むことがあります。

親の意識が自分に向いていないことへの孤独感は、こどもの心に静かに影を落とします。

親に心配をかけまいとする「いい子」の限界

不登校は、個人の問題ではなく、家族全体がバランスを崩してしまう「ファミリー・クライシス(家族の危機)」です。

親御さんは、不登校のこどもをどうにかしようと必死になり、終わりの見えない不安の中で極限のストレスを抱えています。

そんな親の余裕のない姿を一番近くで見ている「手のかからないきょうだい」は、「これ以上、お母さん(お父さん)に心配をかけちゃいけない」と空気を読みます。

自分の悩みや甘えたい気持ちに蓋をして、親を安心させるためにさらに「優秀ないい子」を演じようと無理をしてしまうのです。

しかし、その我慢が限界に達したとき、ある日突然その子自身が動けなくなってしまったり、感情を爆発させたりすることがあります。

家族のバランスを取り戻すために、親自身が休むこと

こうしたお話をすると、「下の子にかかりきりで、上の子に寂しい思いをさせてしまった」と、ご自身を激しく責めてしまう親御さんがいらっしゃいます。

ですが、どうかご自身を責めないでください。

親御さんが不登校のこどもにかかりきりになるのは、それだけ深い愛情と強い不安の中で必死に戦っているからです。

余裕がなくなってしまうのは、親として当然の反応なのです。

きょうだい一人ひとりに目を向けるための「家族のバランス」を取り戻すには、どうすればいいのでしょうか。

それは、親御さんご自身が、自分の中にある「不安」に気づき、まずは自分の心を休ませる(レスパイト)ことです。

親御さんが「何とかしなきゃ」という役割をお休みして、温かいお茶を飲んだり、少しでも自分のための時間を持ったりして、心に「余白」を取り戻すこと。

親御さんの心に余白が生まれれば、不登校のこどもへの過干渉も自然と手放せるようになり、同時に「優秀なきょうだい」の頑張りや寂しさにも気づき、声をかけてあげられるようになります。

「親の笑顔と心のゆとり」こそが、きょうだい全員の心を癒す一番の特効薬なのです。

「どうしても下の子のことが不安で、上の子にまで気が回らない」
「自分がいっぱいいっぱいで、休む方法が分からない」

そんな風に一人で抱えきれない時は、どうかティーンズ・プレイスにご相談ください。

親御さんが不安を吐き出し、心の荷物を下ろすための単発相談などもご用意しています。

不登校は、ご家族全員にとって本当にしんどい時期です。

だからこそ、まずは親御さんご自身の心を、一番に労わってあげてくださいね。

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