「専門家に相談してみたいけれど、肝心のこども本人が嫌がっている」
「部屋から出てこないし、第三者と会うなんて絶対に無理そう……」
ご家庭の空気が少し落ち着き、保護者の方が「そろそろ次のステップへ」と前を向き始めたとき、一番最初にぶつかるのがこの壁です。支援に繋げたい親と、拒絶するこども。このギャップに焦りを感じてしまうのは、とても自然なことです。
今回は、こどもが面談や相談を嫌がるときの心理と、そこから無理なく始められる支援の形についてお話しします。
「面談を嫌がる」のは、心が身を守ろうとしているサイン
まず知っておいていただきたいのは、不登校の初期段階において、こどもが第三者との接触を嫌がるのは「当たり前の防衛反応」だということです。
この時期のこどもたちは、心のエネルギーが枯渇しており、評価(成績や同調圧力)から完全に解放された「絶対的な心理的安全性」を強く求めています。
「知らない人と話したら、学校に行けと言われるのではないか」
「自分の今の状態を責められるのではないか」
という強い不安があるため、外の世界とのシャッターを下ろして自分を守っているのです。
ですから、「本人が行くと言わないから、まだ相談できない」と諦める必要も、「無理やり連れ出さなければ」と焦る必要もありません。
まずは「保護者の方だけ」でスタートできます
こども本人が面談を嫌がっている場合、無理に会わせようとするのは逆効果です。
ティーンズ・プレイスでも、本人が嫌がる場合は、最初は「保護者面談のみ」でスタートすることがよくあります。
こどもが同席していなくても、保護者の方から日々の様子(睡眠や食事、何に興味を持っているかなど)をお聞きするだけで、私たち専門家は「今、どのような状態にあるのか」を見立てることができます。
その状況を一緒に整理しながら、まずは家庭内でできる「無理のない関わり方」を考えていきます。
親が第三者と繋がり、心にゆとりを持って接することができるようになるだけでも、家庭内の空気は確実に変わり、こどもの安心感へと繋がっていきます。
繋がるときの「心理的ハードル」を極限まで下げる
もし、こども本人が「少しなら話してもいいかな」というそぶりを見せたときも、最初から完璧なコミュニケーションを求める必要はありません。
例えば、オンラインで繋がる場合、「顔を見せるのは嫌だ」というお子さんであれば、カメラオフで音声のみでの参加でも全く問題ありません。
声に出して話すのがしんどい場合は、チャットでのやり取りでも大丈夫です。
私が何よりも大切にしているのは、「どんな形でもいいから、まずは繋がること」そのものだからです。
「60分間ずっと黙っている」のも大切なコミュニケーション
いざ面談が始まっても、こどもが緊張して一言も話さないこともあります。
親としては「せっかく時間がもったいない」「何か答えなさい」とハラハラしてしまうかもしれませんが、実はこの「沈黙」も、こどもにとっては大切なコミュニケーションの時間です。
ティーンズ・プレイスでは、60分の間こどもがずっと黙っていても、それをそのまま受け入れます。
無理に話すことを強要せず、「その子のペースでその場にいること」を肯定します。
また、ずっと黙ったままで辛い時間にならないよう、ちょっとした遊び(オンラインでもできること)を交えながら、少しずつ空気をほぐしていく工夫も行っています。
「話さなくても、この人は自分を否定しないんだ」
その安心感が積み重なったとき、こどもたちは自分から少しずつ心の内を語り始めます。
第一歩は、親が踏み出すだけで十分です
「本人が動かないから、何もできない」と立ち止まってしまうのは、とてももったいないことです。
支援の第一歩は、本人の準備が整うのを待つ必要はありません。
保護者の方が一人で扉を叩いてくださるだけで、すでに状況は前に進み始めています。
「今はこんな状態で、本人は全く部屋から出ません」
そんなありのままのお話から、一緒にこれからのことを整理していきましょう。

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