「勉強の遅れが心配…」不登校中の学びの順番と、知っておきたい「出席扱い」の制度

不登校支援の考え方

こどもが学校を休むようになり、少しずつ家庭の空気が穏やかになってきた頃。

保護者の方の心に、次のような現実的な不安が浮かんでくることがあります。

「今は休ませる時期だと分かっているけれど、このまま勉強が遅れたらどうなるの?」
「成績がつかなくて、高校に進学できなかったら…」

こどもの将来を案じるからこそ、学習の遅れに対する焦りが生まれるのはとても自然な親心です。

今回は、不登校中の「学習」との向き合い方と、知っておきたい制度について整理してみたいと思います。

学習には「適切な順番」があります

不安が大きくなると、つい

「家でドリルだけでもやりなさい」
「オンライン授業だけでも受けたら?」

と声をかけたくなります。

しかし、不登校の初期段階において、無理に学習を促すことは逆効果になることが少なくありません。

なぜなら、こどもの心身のエネルギーが枯渇している状態では、新しい知識を吸収したり、集中して何かに取り組んだりする余力が残っていないからです。

不登校からの回復には、大切な「順番」があります。

まずは、プレッシャーのない環境で心身を休め、「心の安定(安心感)」を取り戻すこと。

エネルギーが十分に溜まってくると、ゲームやものづくりなど、自分の好きなことへの「興味」が少しずつ湧いてきます。

そしてその延長線上に、ようやく「将来のために少し勉強してみようかな」という「学習への意欲」が芽生えてくるのです。

「心の安定」を飛ばして、いきなり「学習」を積み上げようとしても、土台が崩れてしまいます。

まずは焦らず、エネルギーが溜まるのを待つことが、結果的に一番の近道になります。

学校以外でも「出席扱い」になる制度があります

では、エネルギーが溜まってきて「少し学んでみようかな」と思ったとき、学校に行けないと成績や出席日数はどうなるのでしょうか。

実は現在の日本の教育制度(教育機会確保法など)では、必ずしも元の教室に戻らなくても、学びを認めてもらえる仕組みが整ってきています。

例えば、自宅でパソコンやタブレットを使った「ICT学習(オンライン学習)」に取り組んだり、民間のフリースクール等の施設に通ったりした場合、一定の条件を満たせば、在籍している学校の校長先生の判断で指導要録上の「出席扱い」として認められる制度があります。

実際、全国で1万人以上の児童生徒が、自宅でのICT学習によって出席扱いと認められています。

「学校の教室で、みんなと同じように机を並べて授業を受けること」だけが、勉強ではありません。国も、こどもたち一人ひとりに合った「多様な学びの場」を推奨しています。

進路の選択肢は、想像以上に広がっています

中学校で不登校を経験した後の進路についても、「内申点がないから高校に行けない」と諦める必要はありません。

現在は、通信制高校やそのサポート校など、自分のペースで無理なく高卒資格を取得し、その先の専門学校や大学進学、社会的自立を目指せる多様な選択肢が用意されています。

ティーンズ・プレイスでも、これまでの支援経験から、そうした通信制高校への進路相談や、多様な選択肢を一緒に考える伴走を行っています。

今、目の前の勉強が止まっているように見えても、こどもの人生がそこで行き止まりになるわけではありません。

心が安定し、その子らしいエネルギーが戻ってくれば、必ずその子に合った学びのルートを見つけることができます。

「いつか動き出したときには、色々な選択肢が用意されている」

その安心感だけを心の片隅に置いて、今は目の前のこどもがリラックスして過ごせる時間を、大切に見守ってあげてください。

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