話題のフリースクールドラマから紐解く、「学校に合わない」こどものリアルと支援者のあり方

不登校支援の考え方

土曜夜9時という、多くの方が目にする地上波のドラマ枠で「居場所系のフリースクール」が題材に選ばれたことは、日頃から不登校支援に携わる者として、とても喜ばしいニュースでした。

今回は、第1話を視聴した個人的な感想と、支援現場のリアルな視点を交えて記事にしてみたいと思います。

ドラマは1時間で解決するけれど、現実はゆっくりと

まず、保護者の方に前提としてお伝えしておきたいのは、「ドラマはあくまでフィクションである」と意識して観ていただきたいということです。

ドラマでは1時間の放送枠の中で、こどもが抱える問題の糸口が見つかり、スッキリと解決へと向かっていきます。

しかし、現実の不登校支援は、そんなに早く劇的な変化が起きるものではありません。

「ドラマのフリースクールに行けばすぐ元気になるのに、うちの子は…」と、変に期待値を上げすぎて焦らないようにしてくださいね。

もっとも第1話は、「母子の気持ちが通じ合い、自分の道(学校以外の居場所)を選択できた」というところで終わっていました。

一見するとまだ問題の入り口のようですが、「親にわかってもらえた」という心の安定こそが、現実でも一番大切な「最初の解決(スタートライン)」なのです。

大規模な施設と、支援者が「経験に頼る」危うさ

ドラマに登場するフリースクール「ユカナイ」は、公式ホームページによるとこどもが24人、スタッフが6人(普段は現場にいないだろう代表も含めて)という設定です。

これはフリースクールとしてはかなり大規模な方で、少なくとも私の活動拠点である岸和田市には、公的な適応指導教室「エスパル」も含めて、ここまで大きな規模の施設はありません。

また、代表のキョージュと教室長のタツキは、こどもの心理を読み解くためにカラーセラピーを使っているようです。

これは映像として分かりやすいドラマ的な演出の側面もありますが、私自身も専門的に学んだことはないものの、たくさんの不登校のこどもの絵を見てきた経験から「色やタッチで心が分かる部分がある」というのはとても共感できました。

一方で、タツキと新人スタッフのしーちゃんは真逆の考え方を持っているものの、私の目から見ると、二人とも「自分の経験に頼りすぎている」という印象を受けました。

私自身も中学・高校と不登校を経験した当事者ですが、だからこそ常に肝に銘じていることがあります。

それは、「目の前にいる不登校のこどもが、自分と全く同じ経験をしたわけではないし、同じように感じているわけでもない」ということです。

支援者が自分の過去の経験(成功体験や苦労)のフィルターを通してこどもを判断してしまうと、本当のSOSを見落としてしまう危険性があります。

「学校に合わない(無気力)」という、現代の不登校のリアル

第1話で最もすごいなと思ったのは、メインの生徒がいじめや家庭環境、発達の特性や精神疾患といった明確な理由ではなく、ただ「学校に合わない」という子だったことです。

これまで国(文部科学省)の調査などでは、こうした状態を「本人の無気力」として分類しがちでした。

しかし、「なぜ学校というシステムの中で無気力になってしまうのか」を、学校側は真剣に考える必要があります。

そして保護者の方は、そうしてエネルギーを失ったこどもにとって「今の家庭環境が、心から休める“安心環境”になっているか」を見つめ直すことが大切です。

もう一人、衝動性の強い子に対して、分かりやすいSST(ソーシャルスキルトレーニング)的な関わりですぐに解決する場面もありましたが、これも現実にはもっと根気と時間が必要です。

大人だって、アンガーマネジメントの本を少し読んだからといって、すぐに怒りの感情をコントロールできるようにはなりませんよね。

まとめ:勉強よりも、まずは「心休まる居場所」を

とはいえ、1話としては不登校支援の現場の空気が伝わる、とても良い内容だったと思います。

「学校復帰のみを目的としない」「勉強は二の次にして、まずは心を休ませる」といった、居場所系フリースクールの本来の役割がしっかりと描かれていました。

不登校経験者でありながら元教員である新人スタッフ・しーちゃんが、「勉強しなくていいの?」と焦る保護者の不安を代弁する役割を担っているのも絶妙です。

彼女が不登校から教員になり、そして辞めた理由も今後の興味深いポイントです。

次回は、いきなり教室長・タツキの息子が飛び降りたという衝撃的なところから始まるようですが、「タツキ先生は甘すぎる!」と言われる理由が判明するのでしょうか。

一人の視聴者として、そして支援者として、今後の展開を楽しみにしたいと思います。

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