「顔を見て話す」が苦しいこどもへ。カメラオフやチャットから始める安心のコミュニケーション

こどもへの関わり方と実践

こどもが学校を休むようになり、部屋にこもって家族とも顔を合わせようとしない。

「ご飯だよ」と声をかけても返事がなく、誰とも会いたがらない姿を見ると、保護者の方は「このまま社会から孤立してしまうのではないか」と深く心配されることと思います。

「なんとか部屋から出して、顔を見てしっかり話を聞きたい」

そう願うのは親として当然の愛情ですが、不登校の初期段階においては、その「顔を見て話す」という行為自体が、こどもにとって想像以上のプレッシャーになっていることが少なくありません。

今回は、こどもが対面でのコミュニケーションを避ける理由と、オンライン(カメラオフやチャット)だからこそ作れる安心感についてお話しします。

「顔を見て話す」ことの心理的ハードル

私たちは普段、目と目を合わせて話すことが「誠実なコミュニケーションの基本」だと考えています。

しかし、心身のエネルギーが完全に枯渇している不登校のこどもにとって、大人と真正面から顔を合わせることは、「今のダメな自分を評価されるのではないか」「大人の期待に応える正解を言わなければならないのではないか」という強い緊張と恐怖を伴います。

元気なときであれば何でもない「どうしたの?」「大丈夫?」という優しい声かけであっても、相手の顔色や視線を直接浴びることで、疲弊した心は防衛本能からシャッターを下ろしてしまうのです。

こどもが部屋から出てこないのは、家族を嫌いになったからではなく、自分自身の心を守るため(これ以上エネルギーをすり減らさないため)の精一杯の自己防衛だと言えます。

カメラオフやチャットがもたらす「圧倒的な安心感」

そんな時に、こどもの心をそっとほぐす大きな助けとなるのが、顔を見合わせない「デジタルなコミュニケーション」です。

例えば、ドア越しに声をかけるのではなく、あえて家族間でLINEなどのチャットを使って「おやすみ」や「今日の夕飯は何がいい?」とテキストだけでやり取りをしてみる。

テキスト(文字)だけのコミュニケーションは、相手の視線や声のトーンといった「非言語のプレッシャー」を遮断できるため、こどもにとっては非常に心理的ハードルが低いのです。

「顔が見えないと、本当の気持ちが分からないのでは」と思うかもしれませんが、実は逆です。

顔を見なくていい、声を出さなくていいという圧倒的な安全網があるからこそ、こどもは「ここでは否定されない」と安心し、ポツリポツリと自分の本当の気持ちを言葉にしやすくなります。

ティーンズ・プレイスが大切にしている「まずは繋がること」

私たちティーンズ・プレイスでも、不登校のお子さんとの伴走支援においてオンライン面談を取り入れていますが、その際、最初から「画面をつけて顔を見せてください」とお願いすることはありません。

お子さん本人が希望すれば、カメラをオフにして音声のみでお話しすることもできますし、声を出したくない場合は、チャット(文字)だけのやり取りからスタートすることも大歓迎しています。

なぜなら、私たちが何よりも大切にしているのは「こどもの心が安定すること」であり、無理に顔を合わせることよりも、まずはどんな形であれ「安心できる誰かと繋がること」のほうが、はるかに重要だと考えているからです。

どんな形でも、繋がっていれば大丈夫

「面と向かって話さなければならない」という大人の正解を、いったん手放してみてください。

顔を見せなくても、声を出さなくても、スタンプ一つの返事であったとしても、そこには確かに「あなたと繋がっていたい」というこどものサインがあります。

デジタルなツールは、決して冷たい現実逃避の道具ではありません。

使い方次第で、傷ついたこどもの心を守る優しくて温かいバリアになります。

焦らなくて大丈夫です。

まずはカメラオフやチャットという「小さな隙間」から、ゆっくりと安心感を届けてあげてください。

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