【不登校】ドラマ第4話のケースから考える。親の焦りを受け止め、ティーンズ・プレイスが提案する「伴走」の形

不登校支援の考え方

現実の相談ケースをブログで詳細にご紹介することは、プライバシーの観点から非常に難しいため、今回は少し視点を変えたお話をしたいと思います。

前回感想を書いた話題のフリースクールドラマ第4話。

主人公のタツキは、不登校になった息子・蒼空(そら)のために、不適切な「不登校ビジネス(フッカツ!)」に相談に行ってしまいました。

もしあの時、タツキが単身でティーンズ・プレイスに駆け込んできていたら、私ならどう対応したのか。

このケースモデルを通じて、当サイトの支援のあり方をシミュレーションしてみたいと思います。

情報不足の中で、こどもの「見えない傷つき」を代弁する

ドラマから読み取れるタツキの相談時の状況は、「2週間学校に行っていない」「原因はカンニングらしい」「こどもと揉めたその日のうちに、父親単身で相談に来た(蒼空とのシーンからネクタイが変っていないことからの予想)」という切羽詰まったものでした。

情報が圧倒的に足りない中、私であればまず「学校に行っていない間のご自宅での様子はいかがですか?」と問いかけます。

そこで「部屋に引きこもっている」「昨日、友達と喧嘩したらしい」という情報が得られたとします。

私は、「カンニングが友達にバレているのなら、それが喧嘩の原因かもしれません。息子さんは今、部屋に引きこもるほど深く傷ついている状態なのだと思います」と見立てをお伝えするでしょう。

タツキのように「それくらいのことで?」と軽く返されるかもしれません。

しかし、そこは怯むことなく、「大人から見れば小さなことでも、クラスという狭い空間で生きるこどもにとっては、世界の終わりのようなとても大きな出来事なんですよ」と、こどもの見えない痛みを代弁してお伝えします。

「早く学校に戻したい」という親の焦りとどう向き合うか

一番難しいのは、ドラマのように父親がこどもの状況を軽く考え、「すぐにでも学校へ復帰させたい」と強く望んでいる場合です。

ティーンズ・プレイスの理念から言えば、エネルギーが枯渇した状態での「安易な学校復帰」は避けるべきです。

しかし、ここで私が「それは間違っています」と正論をぶつけてしまえば、父親は「他をあたります」と関係を切ってしまうでしょう。

その結果、行き着く先は『フッカツ!』のような「再登校の強要」を行う場所になり、一番苦しむのはこども本人になってしまいます。

ですから私は、頭ごなしに否定することはしません。

まずは父親の「何とかしたい」という強い焦りや不安、こどもにどうなってほしいのかという思いを、徹底的に吐き出していただきます。

親が思いを吐き出し、少し心が落ち着いたところで、当面は「学校復帰」を一つの目標にしつつも、『フッカツ!』とは真逆の「こどもの心に寄り添う支援」を提案していくことになると思います。

実際の支援ステップと、医療機関との連携

ドラマでは「3〜4週間で復帰できる」と提案する形になっていたので、ティーンズ・プレイスでも1ヶ月程度の期間でできる限りの支援をスタートすることになるでしょう。

まずは「息子さんご本人にお会いしたいです。来ていただいても、こちらからご自宅へ出向いても構いません」と提案します。

ドラマの第2話がそうであったように、実はこども本人も「本当は学校に戻りたい」と葛藤している場合もあり、もしそうであれば一緒にどうすれば戻れるかを考えます。

逆に、今は戻れる状態ではない場合、親御さんには「他者をコントロールすることの難しさ」や「こどもの辛さ」に気づいていただくサポートを行い、こどもには辛さを軽減するための伴走を行います。

また、ご本人と相談した上で、心療内科などの受診もお薦めします。

ドラマでは医師の言葉も受け入れられていませんでしたが、蒼空の状態が悪化する前の段階に、私からも同じ見立て(休養の必要性など)を伝えていることで、タツキのようなケースでもハッと気づくものがあるかもしれないからです。

誰も苦しまない道を、一緒に模索し続ける

ティーンズ・プレイスは「再登校の強要」はしませんが、「学校復帰させない」わけでもありません。

ご本人と相談しながら、無理のない範囲での登校や、通いながら辛い時にいつでも相談できる体制づくりをサポートします。

「親は早く行かせたい」「こどもは行きたくない」。

この思いがすれ違った時、保護者側の意向だけを優先することは、ソーシャルワーカーの「利用者の自己決定の尊重」という倫理綱領から外れてしまいます。

しかしだからといって、「当団体では方針が合いません」と投げ出すようなことは絶対にしたくありません。

親の焦りも不安も一緒に背負いながら、本人も保護者も苦しまない道を、泥臭く模索し続ける。

それこそが、ティーンズ・プレイスの支援の形なのです。

「うちのケースはどうだろうか」
「親とこどもで意見が違って苦しい」

そんな風に悩まれた時は、どうか一人で抱え込まず、一度お話を聞かせてくださいね。

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