「オンライン授業なら受けられる?」の誤算。ICT支援員から見た“教室配信”のリアルと安心できる活用法

不登校支援の考え方

こどもが学校に行けなこどもが学校に行けなくなったとき、「対面が無理なら、せめて家でオンライン授業だけでも受けてほしい」と期待される保護者の方は多くいらっしゃいます。

国の不登校対策である「COCOLOプラン」においても、1人1台端末を活用して、自宅などからオンラインで授業や支援につながる環境づくりが推進されています。

しかし、実際に学校からタブレットで授業がライブ配信されても、こどもが頑なに画面を開こうとしない、あるいは一度だけ見てすぐに閉じてしまう、といったケースは珍しくありません。

また、「どうしてうちの学校はオンライン授業をやってくれないのだろう」と、学校側の対応にヤキモキされることもあるかもしれません。

今回は、ICT支援員として学校現場のリアルを見ている立場、そして心理・福祉の専門家の視点から、こども側・学校側の双方にある「オンライン授業の難しさ」と、本当に安心できるICTの活用法についてお話しします。

「教室の空気」がいきなり持ち込まれる怖さ

なぜ、こどもはオンライン授業を見るのを嫌がるのでしょうか。

それは、画面越しであっても「学校という緊張空間」と直接つながってしまうからです。

ライブ配信される授業の画面からは、先生の板書の音だけでなく、同級生のざわめきや笑い声、チャイムの音など、リアルな「教室の空気」がダイレクトに伝わってきます。

不登校初期のこどもにとって、ここは今一番避けたい空間です。

自分がいない教室の様子をリアルタイムで見せられることは強いプレッシャーとなり、つらかった記憶がよみがえってしまうこともあります。

一番安全であるはずの「自分の部屋」に、一番怖い「教室」が突然入り込んでくる。

こどもが画面を閉じてしまうのは、自分の心(安心・安定の土台)を守るための自然な防衛反応なのです。

学校側にとっても「オンライン授業」は難しい

一方で、学校側にとってもオンライン授業の実施には多くのハードルがあります。

ICT支援員として現場に入っていると、学校が最も懸念しているのは「万が一、授業の様子が学校外に配信されてしまうリスク」であることがよく分かります。

MeetやZoomなどのツールが外部に漏れることは基本的にはありませんが、学校としてはそういったリスクも念頭に置いて慎重に動く必要があります。

また、配信のクオリティにも限界があります。

児童生徒に配布されているGIGA端末(タブレット等)を教室に置いて配信しようとすると、教室の一番後ろに置けば「板書が小さくて見えない」「先生の声が遠い」となり、教卓に置けば「板書が見切れる」といった問題が生じ、どうしても分かりにくい映像になってしまいます。

そうしたリスクやクオリティの問題を考慮して、「放課後に先生と1対1でオンライン授業を行う」という対応をとってくださる学校もあります。

しかし、多忙な先生方が毎日放課後にその時間を確保できるかというと、現実的には非常に厳しいという課題が残ります。

「学校が対応してくれない」のではなく、「学校も対応が難しい状況にある」。

この背景を知っておくことで、保護者の方の学校に対するイライラや焦りも、少し和らぐのではないでしょうか。

大切なのは「つながり方」の選択肢

このように、こども側・学校側の双方に難しさがある中で、「オンライン授業が受けられない=ICTが活用できない」と悲観する必要はありません。

ライブ配信の「教室の空気」が苦しかったり、学校の配信環境が整っていなかったりする場合は、無理にそこにこだわる必要はないのです。

大切なのは、本人が安心できる「つながり方」や「学び方」を選ぶことです。 たとえば、

  • リアルタイムの配信ではなく、後から「録画された授業の動画」を自分のペースで見る。
  • まずは学習アプリなど、人と直接つながらないツールから触れてみる。
  • カメラやマイクをオフにして、「見るだけ」「聞くだけ」の参加を学校に相談してみる。

ICT本来の良さは、距離や時間を調整し、心理的なハードルを下げられる点にあります。

安心を最優先に、焦らず進めましょう

ティーンズ・プレイスでは、「こどもの心が安定すること」を何よりも大切にしています。

まずは、オンライン授業を受けられないこどもの姿を「怠け」ではなく「今はまだ心のエネルギーが足りないサイン」として受け止めてみてください。

私はICT支援員としての経験と、社会福祉士・精神保健福祉士・認定心理士という資格を掛け合わせ、ご家庭と学校の間で「どのようなICT活用ならお互いにとって負担がないか」を一緒に探り、環境を調整するサポートも行っています。

「学校のタブレットをどう扱えばいいか分からない」「オンライン授業のプレッシャーで親子ともに疲れてしまった」と感じたときは、ぜひお気軽にご相談ください。

一緒に、お子さんが一番安心できる距離感を見つけていきましょう。

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