「学校に行けないのは仕方ない。でも、家でずっとダラダラしてゲームばかりしている姿を見ると、ついイライラしてしまう」
「本当は、ただ怠けているだけなのではないか」
こどもを休ませる決断をしてから少し時間が経つと、多くの保護者の方がこのような感情の波に直面します。
日中、こどもとずっと顔を合わせている密室的な生活の中で、先の見えない不安から親のストレスが限界に達してしまうのは当然のことです。
ある自治体の調査でも、こどもが学校を休み始めた際に、実に7割弱の保護者が「イライラ感の増大」を経験していることが分かっています。
あなたがこどもにイライラしてしまうのは、決して愛情が足りないからではなく、極限のストレス状態の中で起きているごく自然な「親の心のSOS」なのです。
今回は、親を悩ませるこどもの「無気力」の正体について、客観的なデータも交えながら整理してみたいと思います。
不登校の最大の理由は「無気力」であるという事実
不登校の理由と聞くと、多くの方は「いじめ」や「友人関係のトラブル」を思い浮かべるかもしれません。
しかし、文部科学省の最新の全国調査によると、小・中学生の不登校の要因として最も多かったのは、いじめなどではなく「学校生活に対してやる気が出ない等の相談(32.2%)」でした。
高校生においても同様に「やる気が出ない等」が最多(32.8%)となっています。
つまり、現在の不登校において「なんとなく無気力で、どうしても動けない」というのは、ごく一部の特別なケースではなく、最も多く見られる一般的な状態なのです。
「無気力」の正体は、怠けではなく「エネルギーの枯渇」
では、この「無気力」は単なる怠けなのでしょうか。
支援の現場や専門的な視点から見ると、それは決して怠惰ではありません。
画一的な学校システムの中で、自分の特性やペースを押し殺して頑張り続けた結果、心身のエネルギーが完全に「枯渇」してしまった状態(防衛反応)です。
スマートフォンのバッテリーが0%になっているときに、いくら画面をタップしても動かないのと同じです。
「行かなきゃ」と頭では分かっていても、動かすためのエネルギーがないため、結果としてダラダラしているように見えてしまうのです。
この状態のときに、「どうしてやらないの」「少しは何かやりなさい」と無理に刺激を与えたり、原因を問い詰めたりするのは逆効果になります。
バッテリーが空の状態で無理にアプリを立ち上げようとすれば、かえって本体に負担がかかってしまうからです。
原因探しを手放し、「休養」を肯定する
こどもの無気力な姿を見て湧き上がるイライラを鎮めるための最大の処方箋は、親自身が「これは怠けではなく、エネルギーを貯めるために必要な休養なのだ」と肯定してあげることです。
国(文部科学省)の指針である「教育機会確保法」でも、不登校のこどもに対する「休養の必要性」は積極的に肯定されています。
不登校の期間は、単なる空白の時間やドロップアウトではなく、こどもが枯渇したエネルギーを回復させるために不可欠な期間なのです。
「なぜ動けないのか」という原因探しをいったん手放してみてください。
そして、「今はただ、エネルギーをチャージしている時期なんだ」と見方を変えるだけで、こどものダラダラした姿に対する保護者の方のイライラは、少しだけ和らぐはずです。
まずは親自身が深呼吸を
こどもが心から安心してエネルギーを回復させるためには、まず保護者自身がイライラや自責の念を手放し、心にゆとりを持つことがとても重要です。
「こどもが休んでいるのに、親が息抜きをしてはいけない」と思う必要はありません。
時には物理的な距離を置き、親自身が自分のための休息(レスパイト)をとることも、家庭を「安全基地」にするための大切な支援の一つです。
焦らなくて大丈夫です。
こどもの無気力は、いつか必ず充電が完了する日を待っています。
その日が来るまで、どうか保護者の方ご自身の心も大切に休ませてあげてください。

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