こどもが学校を休むようになり、少しずつ家庭で過ごす日々が日常になってきた頃。
ふと外の世界を見たときに、保護者の方の心に冷たい風のように吹き込んでくる感情があります。
「同級生たちは、今日も当たり前のように学校に行って、部活や行事を楽しんでいるのに」
「ママ友とのLINEグループで、学校の話題についていけなくなってしまった」
ご近所の目線が気になり、昼間に買い物に出るのすらためらってしまう。
誰にも本音を言えず、「自分たち家族だけが、社会からポツンと取り残されてしまったのではないか」という深い孤独感。
今回は、不登校の保護者を襲うこの「孤立」の正体と、その処方箋についてお話ししたいと思います。
6割の保護者が「孤独感」を深めているという事実
まず最初にお伝えしたいのは、あなたが今感じているその孤独感は、決してあなただけのものではないということです。
ある自治体(滋賀県)が実施した調査によれば、こどもが学校を休み始めた際に、「孤独感・孤立感の深化」を感じる保護者は6割弱に上ることが分かっています。
また、先の見えない不安や、日中こどもとずっと顔を合わせている密室的な関わりから、「イライラ感の増大」を感じる保護者も約7割に達しています。
不登校は、こども個人の問題にとどまらず、家族全体がバランスを崩してしまう「ファミリー・クライシス(家族の危機)」でもあります。
学校行事やママ友の輪から外れることで情報から遮断され、「誰も分かってくれない」と孤立を深めてしまうのは、極限のストレス状態の中で起きるごく自然な親の「心のSOS」なのです。
なぜ「孤立」を防ぐことが大切なのか
文部科学省が示す不登校支援の指針「COCOLOプラン」の根底にも、「誰一人取り残さない」という考え方があります。
そして、これはこどもだけの話ではありません。保護者もまた、孤立しないことが極めて大切なのです。
なぜなら、こどもが安心して心のエネルギーを回復するためには、まず「保護者自身の安心(心のゆとり)」が必要不可欠だからです。
親が社会から孤立し、不安やストレスを家庭内だけで抱え込んでいると、その緊張感は必ずこどもに伝わってしまいます。
反対に、親が外とのつながりを持ち、誰かに「辛い」と吐き出して少しでも笑顔を取り戻すことができれば、家庭はこどもにとって本物の「安全基地」へと変わっていきます。
孤独を和らげる「つながり」の処方箋
では、この深い孤独感をどうやって和らげればいいのでしょうか。
その最大の処方箋は、家庭だけで抱え込まず、「同じ境遇の人や、分かってくれる第三者とつながること」です。
例えば、同じように不登校のこどもを持つ親同士で本音を話せる場所(親の会などのピア・サポート)は、非常に大きな力を持っています。
「うちも同じだよ」
「その気持ち、すごくよく分かる」
解決策がすぐに見つからなくても、ただそう言って共感し合える仲間がいるだけで、親の心にのしかかっていた重い石はスッと軽くなります。
また、私たちのような民間の支援機関や、学校の先生、スクールカウンセラーなどを頼ることも大切です。
すべてを自分一人で、あるいは夫婦だけで背負い込む必要はありません。
学校、支援機関、地域といったさまざまな人たちと役割を分け合い、「孤立しない構造」をつくることが、長い目で見ればこどもの回復への一番の近道(予防)になります。
「誰も分かってくれない」と一人で泣きたくなったときは、どうかその思いを外に向けてみてください。
焦らずに、少しずつ。
あなたを独りにしないための「つながり」は、地域のあちこちに必ず用意されています。

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