話題のドラマ「タツキ先生は甘すぎる!」第8話。
今回は、主人公(タツキ)自身の過去のトラウマに深く切り込む展開でした。
不登校のこどもへの関わり方や、支援の制度的な壁についても、現場の視点から非常に考えさせられる内容でした。
いくつかのポイントに絞って、感想と心の整理をしてみたいと思います。
「好きなこと」に向けられる評価の眼差し
ドラマの中で、不登校になったこども(海音)に対して、父親が好きなことを見つけて伸ばしてあげようとする姿がありました。
こどもがエネルギーを失っている時に、好きなことを見つけて応援してあげるのは、不登校支援の初期対応としては「花丸」と言える素晴らしい姿勢です。
ただ、そこに少し注意が必要な点があります。
それは、親の側に「失敗しないように」「金メダルを取ろう」といった「評価の眼差し」が入ってしまうことです。
こどもは親の期待に敏感です。
せっかくの「純粋に好きなこと」が、いつの間にか「親に褒められるための手段(一番にならないと意味がないもの)」にすり替わってしまい、結果的にこどもを苦しめることになりかねません。
「ただ好きだからやる」という、評価のない静かな余白を守ってあげることが大切です。
「中学卒業」という公的支援の壁
本編では中学生の卒業会が描かれていました。
実は不登校支援において、この「中学卒業(義務教育の終了)」は非常に大きな節目となります。
例えば、岸和田市にある「子どもサポートルーム(エスパル)」のような行政の教育支援センター(適応指導教室)は、原則として義務教育期間である「小・中学生」が対象です。
そのため、進学が未定のまま中学を卒業すると、これまで頼りにしていた行政のサポートが途切れてしまうという現実があります。
だからこそ、高校生になっても継続して通うことができ、学習面や心理面のサポートを切れ目なく受けられる民間フリースクールや居場所の存在意義は、非常に大きいと感じています。
親の心の中にある「インナーチャイルド」
今回の大きなテーマは、タツキの「インナーチャイルド(心の中のこども)」でした。
以前にお話しした「逆転移(支援者がこどもに過去の自分を重ねてしまうこと)」が起きてしまったのも、タツキ自身が自分のインナーチャイルドの存在に気づかず、心の傷を十分に癒やしていなかったことが原因です。
インナーチャイルドは、どんな大人の心の中にも存在します。
人は無意識のうちに、自分が親から受けた体験や学習した行動を、自分のこどもにも連鎖させてしまう傾向があります。
だからこそ、こどもを一番近くで支える親御さん自身が、自分の心と向き合いメンテナンスをする「教育カウンセリング」のような場が必要不可欠なのです。
荒れる姿も「回復のプロセス」かもしれません
次回予告では、息子の蒼空が母親に対して家庭内暴力を振るうという衝撃的なシーンがありました。
現実のご家庭においても、こどもの暴言や暴力に直面し、深く絶望されている親御さんは少なくありません。
しかし、不登校支援の視点から見ると、これは決して「悪いことばかり」ではありません。
エネルギーが完全に枯渇している時は、怒りを外に出すことすらできません。
暴れることができるようになったのは、「外に向かってエネルギーを出せるようになった」「家庭が感情をぶつけても安全な場所になった」という、回復のプロセスのひとつでもあるのです。
とはいえ、嵐のような感情を親御さんが一人で受け止め続けるのは限界があります。
「こどもの暴言が辛い」「どう接していいか分からない」と心が折れそうになった時は、どうか一人で抱え込まず、ティーンズ・プレイスの「初回相談(60分・無料)」をご利用ください。
親御さんの心の安全基地として、一緒に状況を整理し、次の一歩を考えていきましょう。