学力は「遺伝」が50%? 東洋経済の記事から考える、こどもを追い詰めない「環境デザイン」

学習支援・ICTサポート

こんにちは。ティーンズ・プレイスの中馬孝浩です。

「うちの子は勉強が苦手で……」
「いくら言っても勉強しない。私の育て方が悪いのでしょうか」

日々の相談の中で、こうした保護者の方からの学習面に関するお悩みや、ご自身を責める声をよく耳にします。

特に中学生になると、テストの点数や進路のことが現実味を帯び、親御さんの焦りも大きくなりがちです。

そんな方にぜひ読んでいただきたい、非常に興味深い記事が先日、東洋経済オンラインに掲載されていました。

慶應義塾大学名誉教授であり、行動遺伝学の専門家である安藤寿康先生へのインタビュー記事です。

学力の半分以上は「遺伝」の影響を受けている

記事の中では、「すべての生物は遺伝子からできています。(中略)学校の成績や運動能力、勉強の好き嫌いや得意・不得意にも、遺伝の影響は表れます」と語られています。

さらに驚くべきデータとして、小学生のうちは環境(親の関わりなど)の影響が40〜60%を占めるのに対し、中学生以降の思春期になると遺伝率が60%に逆転し、環境の影響は減少していくそうです。

「遺伝で決まるなんて、身も蓋もない……」とショックを受けられるかもしれません。

しかし、これは決して「親ガチャだから諦めなさい」という冷たい話ではありません。

安藤先生も、「遺伝で決まるのではなく、遺伝の影響を受けているのだ」と強調されています。

「なんでできないの?」という自責とプレッシャーを手放す

この行動遺伝学のデータから私たちが学べるのは、「こどもが勉強を苦手とするのは、決して親の育て方や、本人の努力不足のせいだけではない」という事実です。

「努力すれば何とかなるはず」と信じすぎるあまり、「なんでやらないの!」「もっと頑張りなさい!」とこどもを追い詰め、親御さん自身も「私の教え方が悪いんだ」と自責の念に駆られてしまう。

これが一番、親子双方のエネルギーを奪い、心をすり減らしてしまいます。

遺伝的な得意・不得意があるのは当たり前のこと。

「無理に型にはめようとしなくていいんだ」と知るだけで、親御さんの肩の力が少し抜けませんか?

「教え込む人」から「環境のデザイナー」へ

では、大人はどう関わればよいのでしょうか。

記事の中で安藤先生は、大人は「教え込む人」から「環境のデザイナー」へと変わるべきだとおっしゃっています。

こどもが本来持っている素質を無理やり変えよう(教え込もう)とするのではなく、その子が最も無理なく学べる「環境」を用意すること。

それが私たち大人の役割です。

今の時代、学びの環境は学校の教室だけではありません。

集団の中での一斉授業や、紙と鉛筆の勉強が苦痛なら、タブレットやオンライン教材(ICT)を活用して、自分のペースで視覚的・直感的に学ぶのも立派な「環境デザイン」です。

こどもの特性を否定せず、「この子にはどんな環境が合うだろうか?」という視点で、親子が心地よく過ごせる距離感やツールを探していく。

ティーンズ・プレイスでも、そうした一人ひとりに合った「安心できる学びの環境づくり」を、ICTや福祉の視点から一緒にお手伝いしています。

「勉強しなきゃ」という重いリュックを一度下ろして、まずはこどもがホッとできる環境(土台)を一緒に整えていきませんか。