話題のドラマ「タツキ先生は甘すぎる!」も、いよいよ第10話の最終回を迎えました。
フィクションならではの展開もありましたが、ひとまず親子が大団円を迎えることができて、ホッと胸をなでおろした方も多かったのではないでしょうか。
今回は不登校支援の現場の視点から、主人公の息子である蒼空くんが閉ざした心を開き、大きな一歩を踏み出すことができた「3つの理由」について整理してみたいと思います。
大人には出せない「こども同士(不登校仲間)」の力
蒼空くんが父親の知らない一面を知り、「本当はどっちなんだよ」と問い詰めるきっかけをくれたのは、他のこどもたちでした。
バンドに誘ってくれたり、フリースクールの仲間たちと絵の具で遊んだりしたことも、彼の心を大きく溶かしました。
もしこれらを大人が「やってみよう」と誘っていたら、きっと彼はやらなかったはずです。
私も長くこどもの居場所スタッフをしてきましたが、同じような痛みを抱えたこども同士の関わりから生まれる「グループダイナミクス(集団力学)」の影響力は計り知れません。
親や大人の正論よりも、こども同士のつながりこそが、動けなくなった心を突き動かす大きなエネルギーになるのです。
「自分の好きなこと」が自己肯定感を回復させる
蒼空くんにとって、それは「漫画」でした。 自分の描いた漫画をフリースクールの仲間たちから絶賛されたことは、失われていた自信を取り戻す大きなきっかけになったはずです。
そして、その漫画を描くきっかけが父親であり、父親の絵との共通点があったことが、親子の和解へとつながっていきました。
前回までの記事でもお伝えしてきましたが、やはり「純粋に自分の好きなことを楽しめる環境」は、こどものすり減ったエネルギーを回復させる最大の栄養になります。
大人が「導く」を手放したとき、こどもは動き出す
そして何より一番大きかったのは、蒼空くん本人が「変わりたい意志」を持っていたことです。
フリースクールに行ってみたことも、ゲームをしながら語り合ったことも、手形アートや似顔絵を描いてみたことも、すべて彼自身の「変わりたい」という意志があったからこそできたことです。
ここで、フリースクール代表のキョージュが放った「タツキはまだ自分の力で蒼空くんを導こうとしているんじゃないかな」という言葉が非常に重く響きます。
親は愛情ゆえに、「こどもを正しい道へ導かなければ」と焦ってしまいます。
しかし、大人が無理にコントロールしようとしているうちは、こどもは反発するか、心を閉ざしてしまいます。
大人が導くのではなく、「あなたがどんな道を選んでも信じるよ」「そのままのあなたで大丈夫だよ」という思いを伝え、『安心の土台』を手渡したときに初めて、こども自身の内側から「変わりたい」「動いてみよう」という自発的な意志が生まれてくるのです。
現実はドラマのようにいかなくても、焦らなくていい
ドラマの中では短期間で大団円を迎えましたが、現実の不登校は、こんなにトントン拍子には進みません。
ドラマを見ながら「うちはこんなにうまくいかない……」と落ち込んでしまった親御さんもいらっしゃるかもしれません。
でも、どうか安心してください。
キョージュの「焦らなくて良い。ゆっくりな」という言葉の通りです。
現実はドラマのようにはいかなくて当たり前です。
こどものペースで、ゆっくり、ゆっくり進んでいけばいいのです。
「こどもを導こうとする気持ちを、どうしても手放せない」「焦ってしまう」という時は、どうか一人で抱え込まず、私たち「第三の大人」を頼ってください。
ティーンズ・プレイスの「初回相談(60分・無料)」は、親御さんご自身の心の整理のためにご利用いただけます。
お子さんが自分から「変わりたい」と思える安心の土台を、まずは一緒に作っていきましょう。