「いつになれば、元のように元気になって学校へ行くのでしょうか」
日々の相談の中で、保護者の方からこのような言葉をお聞きすることがよくあります。
部屋から出られなくなってしまったお子さんや、昼夜逆転して無気力になってしまったお子さんの姿を見れば、「早く元の元気な姿に戻ってほしい」と願うのは、親として当然の感情です。
しかし、ティーンズ・プレイスの「自己紹介」ページに、私はあえてこう書いています。
「回復とは、元の状態に戻すことではなく、その子らしさを取り戻していく過程です」と。
今回は、私がこの言葉に込めた「願い」について、少しお話しさせてください。
「元の状態」は、本当に戻るべき場所でしょうか?
お子さんが不登校になる前、一見すると元気に学校へ通っていた時期があるかもしれません。
保護者の方からすれば、それが「元の状態」であり、「目指すべきゴール」のように思えるでしょう。
しかし、お子さんの心の中ではどうだったのでしょうか。
周りに合わせようと必死に気を張っていた。
自分の本当の気持ちを押し殺して「いい子」を演じていた。
小さな我慢や違和感が少しずつ積み重なっていた。
もし、「元気に学校に通っていた状態」が、そうした「過剰な無理の上に成り立っていた状態」だったとしたらどうでしょうか。
私たちが「元に戻そう」とすることは、こどもを再び「無理をして適応しなければならない苦しい場所」へ引き戻してしまうことになりかねないのです。
不登校を経験した私自身の感覚
私自身も、小学校高学年から学校に行きづらさを感じ始め、中学3年生から高校生にかけて不登校を経験しました。
当時は強いストレスが身体症状として現れ、朝になると動悸や腹痛が続き、思うように体が動きませんでした。
怠けているわけではないのに動けない――その感覚は今も覚えています。
「学校に行けない自分」「体が動かない自分」を責めずにいられる安心できる環境があり、少しずつエネルギーを取り戻し、「新しい自分なりの歩み方」を見つけることができれば、どんなに良かっただろうと思います。
回復とは「その子らしさ」を取り戻すこと
不登校からの回復とは、壊れた機械の部品を交換して元通りにすることではありません。
傷つき、エネルギーが枯渇してしまったこどもが、安心できる環境の中でゆっくりと休み、本来持っていた「その子らしさ(好きなこと、得意なこと、心地よいペース)」を新しく見つけ直していく過程です。
だから、「元の状態」に戻らなくてもいいのです。
不登校という立ち止まる時期を経たからこそ、自分に本当に合った学びの形や、無理をしない生き方(社会との繋がり方)を手に入れることができると私は信じています。
「いつ元に戻るのか」と焦りそうになったときは、どうか「元に戻らなくても、新しくこの子らしい生き方を見つければいい」と、少しだけ肩の力を抜いてみてください。
ティーンズ・プレイスは、心理や福祉の専門的な視点から、その「新しいその子らしさ」を見つけるための伴走者として、いつでもご家庭のそばにいます。