話題のドラマ「タツキ先生は甘すぎる!」の最終回では、主人公の息子である蒼空くんが、閉ざしていた心を開き、自分から大きな一歩を踏み出す姿が描かれました。
なぜ彼は、あそこまで頑なだった心を動かすことができたのでしょうか。
支援の現場の視点から見ると、それは大人が無理やり動かしたからではなく、彼自身の内側に「変わりたい意志」が芽生えていたからに他なりません。
親はつい、こどもを「導こう」としてしまう
ドラマの中で、フリースクール代表のキョージュが放った「タツキはまだ自分の力で蒼空くんを導こうとしているんじゃないかな」という言葉に、ハッとさせられた親御さんも多いのではないでしょうか。
こどもが不登校になると、親は深い愛情と不安から「私がなんとかして、この子を正しい方向へ導いてあげなければ」と焦ってしまいます。
しかし、大人が自分の力でこどもをコントロールしよう(導こう)としているうちは、こどもはそのプレッシャーを敏感に感じ取り、かえって心を固く閉ざしたり、反発したりしてしまいます。
「変わりたい意志」は、安心の土台から生まれる
蒼空くんがフリースクールに足を運んだことも、他のこどもたちと手形アートや似顔絵を描いてみたことも、すべて彼自身の内側に「変わりたい」「やってみよう」という自発的な意志があったからこそできたことです。
以前の記事で「信頼関係(ラポール)ができていない大人からの正論は響かない」とお伝えしましたが、こども自身が「変わりたい」と強く願っているタイミングであれば、大人の言葉がスッと心に届くことがあります。
では、どうすればその「変わりたい意志」が生まれるのでしょうか。
それは、大人が導くことを手放し、「あなたがどんな道を選んでも信じているよ」「そのままのあなたで大丈夫だよ」という思いを伝え、すべてを受容する『安心の土台』を手渡したときです。
自分はここで安心していていいんだと思えたとき、こどもは初めて、自分自身の足で歩き出すためのエネルギーを蓄えることができるのです。
現実はドラマのようにいかなくても「ゆっくりな」
ドラマの中では、数回の出来事で劇的に心が通い合い、大団円を迎えました。
しかし、現実の不登校支援は、あんなにトントン拍子には進みません。
ドラマを見ながら「うちはこんなにうまくいかない……」とため息をついてしまった親御さんもいらっしゃるかもしれません。
でも、どうか安心してください。
キョージュが語った「焦らなくて良い。ゆっくりな」という言葉が、現実の不登校支援における最大の真理です。
現実はドラマのようにはいかなくて当たり前です。
こどものペースで、三歩進んで二歩下がるように、ゆっくり進んでいけばいいのです。
「こどもを導こうとする気持ちを、どうしても手放せない」「頭では分かっているけれど焦ってしまう」という時は、どうか一人で抱え込まず、私たち「第三の大人」を頼ってください。
ティーンズ・プレイスの「初回相談(60分・無料)」は、親御さんご自身の不安を整理し、焦りを手放すためにご利用いただけます。
お子さんの「変わりたい意志」が自然に芽生える環境を、まずは一緒にゆっくりと作っていきましょう。