小中高生の自殺から考える心の健康。学校問題や「不適切な指導」から我が子の命を守るために

こどもの心の健康

先日、東洋経済オンラインに掲載されたジャーナリスト・渋井哲也氏の記事「小中高生の自殺が増えている・・・原因は学校問題が46%、子どもたちは何に悩み追い込まれていくのか《3つのケース》」を読みました。

この記事が伝えるデータとこどもたちの実態は、教育や福祉に携わる者だけでなく、「こどもに関わるすべての大人」にとって、決して目を背けてはならない現実を突きつけています。

「学校問題」がこどもを追い詰める現状

記事によると、社会全体の自殺者数は過去最少を記録しているのに対し、小中高生の自殺は高止まり、あるいは増加傾向が続いています。

そして、警察庁のデータによると、こどもたちが自ら命を絶ってしまう原因・動機として最も高い割合(46%)を占めているのが「学校問題」です。

これは、家庭問題(27%)や健康問題(32%)に比べても高い数値です。

こどもたちにとって、学校は一日の大半を過ごす「世界のすべて」に近い場所です。

その絶対的な場所で追い詰められたとき、こどもたちの心にはどれほどの負荷がかかっているのでしょうか。

見えないプレッシャーと「いい子」の罠

記事のなかでは、こどもたちが極限まで追い詰められていく具体的なケースが紹介されています。

そこから見えてくるのは、長期休暇明けの提出物の遅れや、進路に対する過度な焦り、プレッシャーです。

大人から見れば「たかが宿題」「やり直せばいい進路」だと思えることでも、経験の少ないこどもたちにとっては、自分の全存在を否定されたかのような、逃げ場のない恐怖に感じられることがあります。

特に、周囲に心配をかけまいとする優しいこどもや、大人の期待に応えようとする「いい子」ほど、そのプレッシャーや学校でのしんどさを家庭で徹底的に隠してしまいます。

周囲が「いつもと変わらない」「元気にしている」と思っているその裏で、こどもたちの心身のエネルギーは、限界まで削り取られているケースが少なくありません。

「不適切な指導」がもたらす大打撃

学校問題のなかでも、私たちが専門的な見地から特に重く受け止めなければならないのが、教員による「不適切な指導(理不尽な叱責や決めつけ)」です。

本来、こどもたちが安全に成長し、社会性を身につける場所であるはずの学校において、教育や指導という名のもと、事実確認のない一方的な決めつけや、大声での執拗な叱責(しっせき)が行われることがあります。

これらは、こどもの自尊心を根底から破壊し、大人や社会に対する信頼感を一瞬で失わせるほどの大きな精神的暴力となり得ます。

文部科学省もこの問題を非常に重く受け止めており、自殺した児童生徒が置かれていた状況の背景調査において、近年「教職員による体罰・不適切指導」という項目を新たに追加しました。

これは、学校のなかの「指導」が、時にこどもの命を脅かすほどのプレッシャーになり得ることを国が公式に認めた結果でもあります。

周囲の大人が「安全な避難所」になるために

こどもたちの心の健康と命を守るために、親や地域、こどもに関わる大人は、どのような意識を持っておくべきでしょうか。

私たちは、以下の3つの判断軸を持つことが大切だと考えています。

  1. 学校の「正しさ」より、目の前のこどもの「つらさ」を信じる
    学校の言う「ルール」や「指導」の前では、つい「あなたにも悪いところがあったんじゃないの?」と諭してしまいがちですが、それは傷ついたこどもの逃げ場を奪う結果になります。
    まずはこどもの言い分を全面的に信じ、そのつらさを受け止めることが、何よりの回復の土台になります。
  2. 「休むこと」は命を守るための正当な避難である
    行き渋りや心身の不調を訴えるとき、「休ませる」ことは甘えや問題行動ではありません。
    国の「教育機会確保法」でも、こどもの心身の状況に応じた「休養の必要性」が法律で認められています。
    限界を迎えたこどもにとって、休むことは「命を守るための正当な避難(シェルター)」です。
  3. 「第三の大人」という逃げ場をこどもの周りに用意する
    一度、大人への不信感を抱いたこどもは、親に対しても本音を隠してしまうことがあります。
    そんなとき、家庭や学校といった利害関係のない場所で、ありのままの自分を受け止めてくれる「第三の大人」と出会うことが、心を救う大きなきっかけになります。

■ 孤立せず、複数の「信頼できる手」を

壊れてしまった大人や社会への信頼感を、こどもが自分一人の力で編み直していくのは非常に困難です。

また、ご家庭だけでそのすべての役割を背負い込むことも、親御さん自身の心の健康を損ねてしまう原因になりかねません。

ティーンズ・プレイスでは、社会福祉士・精神保健福祉士の福祉専門職としての知識を活かし、学校や関係機関との適切な調整(環境調整)をサポートします。

それと同時に、こどもたちが「ここでは何を話しても、あるいは何も話さなくても、ありのままで受け止めてもらえる」と感じられる、安全な居場所(サードプレイス)でありたいと願っています。

こどもの「心の健康」を守るためには、家庭、学校、そして地域や民間機関がそれぞれの役割を分担し、こどもの周りに「信頼できる大人の手」を複数用意しておくことが極めて重要です。

少しでも「様子がおかしいな」「何か大きなプレッシャーに苦しんでいるな」と感じたときは、どうぞ一人で抱え込まず、第三者の専門家を頼ってください。

うまくまとまっていなくても構いません。

まずは大人の方だけでのご相談からでも、いつでもティーンズ・プレイスでお待ちしています。