「正論」は届かない。不登校のこどもの家庭内暴力と、暴れるこども自身の深い傷

こどもへの関わり方と実践

話題のドラマ「タツキ先生は甘すぎる!」第9話では、不登校支援において避けては通れない「家庭内暴力」という非常に重いテーマが描かれていました。

こどもの激しい暴言や暴力に直面し、「どうしてこんなことになってしまったのか」「愛情が足りなかったのか」と絶望し、日々恐怖を感じている親御さんも少なくないと思います。

今回は、支援の現場の視点から、家庭内暴力が起きている時の「こどもの本当の心理」について整理してみたいと思います。

「暴力はダメ」という正論が響かない理由

ドラマの中で、母親に暴力を振るう息子の蒼空に対し、フリースクール代表のキョージュが「どんな事情があろうと暴力は良くない」と諭すシーンがありました。

もちろん、社会のルールとしてそれは「正論」です。しかし、こどもとの間に「信頼関係(ラポール)」ができていない知らない大人に正論を言われても、こどもの心には何も響きません。

ましてや蒼空は、これまでに親から心を深く傷つけられるような不適切な関わり(心理的虐待に近い状態)を受けてきました。

行き場のない絶望感でいっぱいになっているこどもに対して、ただ「暴力はダメだ」と行動だけを制限することは、あまりに酷であると感じてしまいます。

親に暴力を振るう時、一番傷ついているのは「こども自身」です

こどもの家庭内暴力について、親御さんにどうしても知っておいていただきたいことがあります。

こどもというのは、本来、親をとても大切に思う本能を持った生き物です。

私たちが支援の現場で直面する厳しい現実として、親から虐待を受けて行政に保護されるようなこどもでさえ、必死に親を庇い、親を悪く言うことはありません。

こどもにとって、それほど親は絶対的で、大切な存在なのです。

そんな「親を大切にする本能」を持ったこどもが、一番の安全基地であるはずの親に対して暴力を振るってしまう。

その時、誰よりも深く傷つき、激しい自己嫌悪に陥っているのは、暴力を振るってしまったこども自身なのです。

コントロールできない「SOSの爆発」

こどもの家庭内暴力は、「親を傷つけてやろう」「親を支配してやろう」という悪意から起こるものではありません。

「学校に行けない」「まともに生きることもできない」という生き地獄のような苦しみと、親への複雑な思いが心のコップから溢れ出し、自分でも感情をコントロールできなくなってしまった「SOSの爆発」なのです。

そして、暴力を振るうたびに「また大切なお母さん(お父さん)を傷つけてしまった」「自分はどうしようもない最低な人間だ」と、こどもの心はさらに深く傷つき、絶望の底へと沈んでいってしまいます。

限界を迎える前に、第三者にSOSを

だからこそ、家庭内暴力が起きてしまった時は、決してご家庭の中だけで解決しようとしないでください。

親御さんが暴力を受け入れて傷つくことは、結果的にこども自身をさらに深く傷つけることになってしまいます。

「これ以上、こどもに自分自身を傷つけさせないため」に、そして「親御さんご自身の心と身体を守るため」に、一刻も早く私たち「第三の大人」を頼ってください。

ティーンズ・プレイスでは、「初回相談(60分・無料)」をご用意しています。

その際に必要があれば、適切な行政機関を紹介することも可能です。

ご家族が完全に壊れてしまう前に、まずは専門家と一緒に状況を整理し、安全を取り戻すための具体的な方法を考えましょう。