≪小説≫殺心の真葬

 

朝、いつも通りに目が覚める。

 

もう、朝が来てしまった。来てほしくなかった、朝が。

無理やり体を起こして、布団から出る。

無理やり体を動かして、身支度を済ませていく。

 

そして私は、今日もまた、学校へ行く。

 

 

行きたくない。学校なんて。そんな行き場のない思いを全部、制服の中で押し殺してきた。紺色のスカーフ、真っ黒なスカート、真っ黒な襟のセーラー服。いつの間にか、心の中で『喪服』と呼んでいたそれが、汗でまとわりついてきて気持ち悪かった。

 

「次は始業式だな、」

三者面談、担任に告げられた言葉。そんなもの、ただの重荷でしかなかった。無理やり登校を続けて欠席することもなかった1学期、傷つけてきたのは、左手首だけじゃない。

 

 

いつの間にか、声を上げることができなくなっていた。

いつの間にか、心の底から笑うことが減ってきていた。

いつの間にか、信頼できる人でさえも疑ってしまう自分がいた。

 

いつの間にか、生きることがつらくて、怖くて、それすらも重荷になっていた。

 

 

『喪服』は、すべてを隠した。

私の本心も、体に作ってしまった傷も、心に深く残り、今なお増え続ける傷も、何もかもを隠した。

 

 

この喪服は殺心のため。

私の大切な葬列のため。

それは、私の大切な『心』の葬列のため……。

 

 

きっとまたこの服を着てしまえば、私はまた殺心を犯し、葬列を出さなくてはならないだろう。私自身の『心』の葬列を。

でもきっと、周りにとってはそれでいいのだ。ロボットのように、『いい子』を演じ続ける私がほしいのだろう。私が私を壊してでも、きっとそれがいいのだ。

 

 

私が私を殺して葬列を出す前に、ただひとつ伝えられるとしたら。

私の願いはただひとつ、

 

 

 

―――喪服ではなくて、愛をください。

 

 

 

あとがき

最悪なことに夏休みも終わりに近づいてきました。いちばん苦痛な時期を迎えつつある雪灯です。皆様の中にも同じようにつらい思いをされている人がいるならば一言。逃げてもいいのです。「逃げるは恥だが役に立つ」というドラマがありましたが、そのタイトル通り。まずは逃げてでも生きてください、そして自分の心を捨てないでください。

さてさて、今回の小説ですが。……ハッピーエンドではありません。何となく思うままに書いていたらこんな終わり方になりました。『制服=喪服』、間違ってはいないはず。だって学生の正装は制服だから。そんな考えからいつの間にか私の心にあった思いを今回は書きました。なかなか共感できる考え方では……、ないと思いますけれど。

 

まだまだ暑い日が続きます。とりあえず私は今年、暑さにやられて1回保健室送りになりました。……毎年1回はなってしまう熱中症、今年はこれ以上は阻止したいところです。かかってしまうと本当にしんどいですので、皆様もどうかお気をつけて。

今回のご愛読、本当にありがとうございました!

 

 

 

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全4件のコメント

  1. sky 2017/10/29 17:14

    なるほどなって思いました。制服に隠されている気がします。一人一人の個性とか思いとか考えとか感覚とか全部。それはとても苦しく押し潰されている気がします。

    • 雪灯 2017/10/29 17:53

      コメントありがとうございます。私はこの小説を書いたときも今でも、毎朝制服を着るのが嫌です。着てしまうことでまた自分の感情も意思も全部殺して生きなければならない日が始まったと考えてしまうから。全部自分で自分の一部を殺していかなければならないのです。辛いけれど、どうしようも出来ない自分が尚更嫌になってしまう。そんな日々が続いています。
      これは私の表現の仕方ですが。他の作品と比べてみたり、作品を読んでまた感想をくださったりしていただければ幸いです。今回はコメント、本当にありがとうございました!

  2. モモコ 2017/8/24 12:54

    小説は、拝見しました。
    制服って、確かに、喪服みたいと思います。
    皆、同じで、個性とか押さえられてるとか・・・。
    学校に、自由は、本当にあるのでしょうか?
    夏休みも、終わりです。
    学業を、頑張って下さい。
    これからが、始まりなのでしょう。

    • 雪灯 2017/8/24 19:21

      いつもコメントをありがとうございます!
      そうですね、実際に私は喪服として制服を着たこともありますし。感情を殺すために制服を着ている気がしたんです。学校や社会で、とくに必要のない自由な私の意思が。だからこそ、いちど書いてみたかったのです。『制服=喪服』の方程式がテーマの小説を。
      受験生ですのでブログ更新の頻度がなおさら遅くなるとは思いますが、また読んでいただければうれしいです。今回もありがとうございました!

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